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更新日 2020.3.2

土地の固定資産税はどう決まる?計算方法と特例措置

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固定資産税の対象になる土地

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国や都道府県、市区町村が所有する土地以外であれば、固定資産税の対象になります。

ただし、要件を満たすことを条件に、固定資産税の対象にならないケースもあります。

学校法人や社会福祉法人および宗教法人などが所有し、その本来の用途に使用されている土地や、私有地が「公共の用に供する道路」として使われている場合などには、課税対象となりません。

課税対象とはなっているけれど、実際には金額が非常に低いために課税されていないケースや、市町村の条例によって固定資産税が減免されるケース、所有する森林が保安林に指定されて固定資産税が免除されるケースなどもあります。

同一人物が同一市町村内に所有する土地の課税標準額の合計が、免税点である30万円未満である場合には、固定資産税がゼロとなります。

課税対象になってはいるのですが、免税点未満のため、実際には課税されません。

例えば同一人物が、ある市町村内に課税標準額が20万円の土地を持ち、別の市町村内にも20万円の土地を持っているとします。

その場合、その人物が持つ土地の課税標準額の合計は、40万円とはなりますが、免税点は同一市町村での合計額となりますから、その人物のいずれの土地にも課税はされません。

国や都道府県、市区町村が所有する土地は課税対象になりません。

学校法人や社会福祉法人および宗教法人などが所有している場合は、本来の用途に使用しているのであれば、やはり課税対象にはならなくなります。

本来の用途に使用しているかどうかの判断基準は、細かく定められています。

私有地が「公共の用に供する道路」になっている場合も、課税対象となりません。

「公共の用に供する道路」の基準も、細かく決められています。

課税対象ではあっても、所有する森林が農林水産大臣によって保安林に指定され、登記簿の地目が保安林となると、固定資産税はその後免除されます。

ただし、その後自由に土地利用することはできません。

学校法人や社会福祉法人および宗教法人などが所有している土地は私有地となりますが、条件を満たすことで課税対象にならない場合があります。

学校法人や社会福祉法人および宗教法人などが所有している土地、というだけでは非課税にはなりません。

例えば宗教法人の私有地が駐車場となっている場合、そこが非課税になるためには多くの条件を満たす必要があります。

条件とは、その宗教法人の宗教行事に参加する信者のための無料駐車場であり、参詣する信者の数に比べて広すぎず、礼拝施設から遠すぎず、信者が使うのに十分な既存の駐車場が周囲にないことなどです。

これを満たすかどうかについて、市町村職員との間で争点になることもあります。

例えば道路は、公共の利益になるものですから、すべてが公的機関の所有になっているようなイメージがありますが、私有地である道路というのもかなりあります。

私有地だからといって、不特定多数の人の通行を妨げることは、場所によってはできません。

そうなると、その所有者は「公共の用に供する道路」として私有地を提供してくれている人ということになります。

そのため、その私有地は非課税になります。

ただし、「公共の用に供する道路」として認定されるには、さまざまな条件を満たすことが必要です。

起終点が公道に接している通り抜け私道であって、道路の道幅が1.8メートル以上であり、不特定多数の人に利用されていれば、「公共の用に供する道路」と認められます。

その通り抜け道が使えなくなったら、周辺住民はかなり不便となることでしょう。

私有地を、すべての人に解放しているようなものです。

非課税となるのは当然でしょう。

行止り私道やコの字型私道でも、定められた条件を満たせば非課税になります。

条件は市町村によって、少々異なる場合もあります。

こうした条件を満たしているにも関わらず固定資産税が課税されているという場合は、市町村に申し出ましょう。

「公共の用に供する道路」として新たに認められる可能性があります。

大きな民間団体が所有する私有地で宅地開発をした場合、その敷地内に公立学校ができることもあります。

私有地内に公立の学校が建てられ、学校用地として私有地を貸し出す場合も、その土地の固定資産税は非課税です。

市町村の条例によって、固定資産税が免除されたり減額されたりする場合があります。

公共のために使われている公民館や児童館、運動広場およびゲートボール場などが対象になることが多いようです。

制度自体が市町村独自のものであるため、条件を満たしている可能性がある場合は、その都度市町村に相談するのがお勧めです。

土地の固定資産評価はどう決まる?

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土地の固定資産評価は、市町村がおこないます。

とは言え、市町村が独自の基準で自由に決められるというものでもありません。

総務大臣が定めている固定資産評価基準に基づいて、市町村が個々の土地の固定資産評価をおこなうものとなっています。

その額は、適正な時価とされます。

特別な事情がない通常の取引で成立する場合の価格ということです。

市町村がそれを担当するのは、固定資産税を課すのが市町村だからです。

固定資産税の金額を決めるためには、その土地の価値を適正に評価しなくてはなりません。

土地の固定資産評価は、市町村職員が1件1件調査しておこなっています。

調査するのは、まずは土地の地目です。

田か畑か、それとも宅地、山林もしくは牧場かといったことが問題になります。

土地の所有者がどういった主張をするにしても、地目を決めるのはあくまでも市町村職員です。

市町村職員は現況や利用目的に重点を置いて、地目を決めます。

登記簿にも土地の地目は記載されていますが、その記載内容にも影響されず、現況に基づいて判断されます。

他に重要なのが土地の面積です。

土地の面積は、登記簿に記載されている数字を用います。

登記されていない場合は、現況の面積を測ります。

地目が宅地なら、その宅地が市街化区域にあるかどうかが問題となります。

自分が購入した土地なら、家を建てるのは自由かというと、そうではありません。

水道を通したり、救急車や消防車が入れるようにしたり、ということを役所では考えますから、まずは都市計画区域を決め、その中に市街化を推進する地域となる市街化区域と、市街化を抑制する地域となる市街化調整区域とを設けます。

市街化調整区域には、建物を建てることはできません。

宅地が市街化区域にある場合は、市街化宅地評価法が用いられます。

それは、固定資産税路線価と土地面積と評点をかけ合わせるという式となります。

同じような場所にあって面積が同じであっても、土地の形状によって固定資産税評価額が異なることも往々にしてあります。

評点とは、形状によって補正する補正率のことです。

複数の道路に接していると、条件が良く好まれやすいので、評点が高くなります。

奥行きがある形状だと、使いづらいと感じる人が多いため、評点は下がります。

道路に接している部分が短めだと、やはり評点は低くなります。

このように、形状によって異なる需要の高さや利便性などが評点によって、影響することになります。

固定資産評価は公的な評価であり、特に近年は大きな注目を集めています。

適正な時価となるはずの固定資産税評価額ですが、それと市場価値は必ずしも同じではありません。

むしろ違っているのが普通です。

固定資産税評価額は、現実には公示価格のおよそ70%程度とされます。

公的評価は一元化されているので、どの市町村でもそうなっているという建前です。

固定資産評価は3年ごとにおこなわれますから、評価された時点から年月が経つにつれて、市場価値との違いが大きくなる傾向にあります。

現在は地価が比較的安定していますが、値上がりの激しかったバブルの頃は、市場価値と固定資産評価には大きな開きがありました。

そのため、当時はあまり固定資産税評価額が注目されないこともあったようです。

市町村職員による固定資産評価に疑問がある場合は、固定資産評価審査委員へ「審査の申出」もしくは「異議申立て」をすることができます。

機械が算出するのではなく、1件1件人手をかけておこなっていることですから、地主が疑問を持つケースも当然あり、その場合の対応策も用意されています。

「審査の申出」は、価格に疑問があるときにおこないます。

申出をすると、固定資産評価審査委員会が開かれ、申出をした日から30日以内に審査の決定をして、その後10日以内に文書で通知することになっています。

審査委員会の決定に納得できない場合は、決定を知った6か月以内なら、その処分の取消しを求めて裁判所へ訴えることもできます。

「異議申立て」は、市町村職員の評価で、価格以外の点で疑問がある場合におこないます。

不服申し立てをする先は、市町村長です。

不服申立て後の決定に納得できない場合は、その決定の取り消しを求めて裁判所に訴えることができます。

訴えることができるのは、やはりその決定を知ってから6か月以内となります。

固定資産評価についてある程度の知識がないと、疑問を持つこともできませんので、土地を持っている場合はそれなりの知識が必要となります。

そして決定額をさまざまな角度から見て、妥当かどうか検討することが求められるでしょう。

こうした制度が整っているのには、意義があると見られます。

土地の固定資産税の計算方法

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土地の種類は、宅地や山林、田畑や原野などに分かれています。

その中でも高額な税率がかけられているのが宅地で、低額な税率がかけられているのが山林や田畑です。

したがって宅地用であれば軽減措置が設けられており、固定資産税として計上される金額は、軽減措置分を差し引いた額になります。

宅地用の土地の場合、小規模住宅用地と一般住宅用地に軽減措置が設けられているので小規模住宅用地と一般住宅用地に軽減措置について紹介します。

小規模住宅用地とは、住宅1戸あたりの200平方メートル以下の部分のことをいいます。

小規模住宅用地であれば固定資産税が6分の1に軽減されるのです。

したがって更地の宅地であれば、土地の上に居住用の建物を建てると節税につながります。

また使わなくなった居住用の建物であっても、処分をせずにそのまま残しておきましょう。

空き家だからといって単純に処分してしまうと、翌年度から税金が大きく上がってしまうことがあるからです。

住戸1戸に対して200平方メートルを超える部分は、一般住宅地となります。

一般住宅地は上限もありますが、ほとんどの住宅がこの一般住宅地内の規模に収まっています。

一般住宅地における固定資産の負担軽減は3分の1です。

例えば180平方メートルで前年の固定資産評価額が150万円、本年の評価額が800万円である場合、はじめに課税評価額を算出します。

課税評価額を計算すると1566千円になるので、その金額に1.4%かけた金額がこの土地の固定資産税額です。

固定資産税がいくらになるのか知りたい場合は、具体的な計算方法を知ることが大切です。

必要がなくなった土地であっても売却先を見つけないと売ることはできないので、まずは税金がどのくらいかかるのかを知って、それから活用方法を考えていくことが大切です。

固定資産税の税率は一律で1.4%、都市計画税の税率は0.3%です。

固定資産税の求め方は、課税評価額に税率をかけて計算します。

例えば500平方メートルの土地で、1000万円の評価額があるのなら1000万円×1.4%=14万円/年です。

この土地に都市計画税がかかる場合は、さらに1000万円×0.3%=3万円がかかるので、固定資産税14万円+都市計画税3万円で合計17万円かかります。

固定資産税を計算するには固定資産税評価額を調べる必要があるので、どのように調べればよいかを紹介します。

宅地以外であっても放置していると評価が変わって高額な税金を課税されてしまうことがあるので注意が必要です。

もし空き家などになっているのなら、空き家を人に貸したり賃貸アパートを建てたりさまざまな活用法を見つけることが大切です。

まずは評価額を知ることが大切なので、どのように評価額を調べればよいかを紹介します。

評価額を知るための最も手っ取り早い方法は、役所から送られてくる明細書を確認することです。

土地を所有していると毎年役所から税金の納付書が送られてくるので、この納付書で税額だけでなく評価額を知ることができます。

したがって評価額を知りたいのであれば明細をきちんととっておくようにしましょう。

役所から明細書が送られてきたけど、明細書を処分してしまって確認することができないのであれば固定資産税評価額の証明書を取得しましょう。

この証明書の取得方法は、住民表や戸籍謄本を取り寄せるのと同じように最寄りの市区町村役場の課税課で発行してもらうことができます。

名寄せ帳とは、役所が固定資産を課税するために作成している台帳のことをいいます。

この名寄せ帳には不動産やその所有者、税額などが記載されていて、所有者やその相続人であれば開示を受けての閲覧や写しをもらうことが可能です。

したがって相続が発生し被相続人がどのような不動産を持っていたかを確認する時に名寄せ帳を開示してもらうのがいいでしょう。

固定資産税路線価とは、土地の所有者でない場合に評価額の大まかな金額を知ることができる評価額のことをいいます。

路線価とは、市街地などの宅地がある場所にある道路に面した宅地につけられた、1平方メートルあたりの評価額のことをいい、土地の所有者以外にも公表されています。

路線価は1平方メートルあたりの金額になっているので、この土地の面積をかければ評価額を知ることができます。

路線価を調べるのであれば、一般財団法人資産評価システム研究センターによる「全国地価マップ」を利用するのがいいでしょう。

これから購入しようと思っている土地の評価額や税額を知りたいのであれば、売却する土地を取り扱っている不動産業者に確認することもできます。

特例措置にはどんなものがある?

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住宅用地において大きな固定資産税をかけると、生活に多大な負担が発生してしまう恐れがあるので特例措置が用意されています。

特例措置は住宅用地の広さによって異なります。

適用される住宅用地の範囲は家屋の床面積の10倍までとなっています。

小規模住宅用地とはここでは200平方メートル以下の住宅を表します。

この住宅においては住宅用地申告書を提出することで、課税標準額が土地の価格の6分の1の額にする特例措置があります。

簡単に言うと土地の価格を6分の1として、課税標準額を計算するということです。

大幅な減額がなされる可能性もあるので忘れないように申告書を提出することをおすすめします。

大きい部分の住宅用地を一般の住宅用地と言います。

こちらの場合は申告書を提出することによって、課税標準額に関してその土地の価格の3分の1の額とする特例措置が用意されています。

500平方メートルの住宅用地の場合、200平方メートルまでを小規模住宅用地として扱い、あとの300平方メートルを一般の住宅用地として扱います。

つまり、小規模住宅用地であっても、一般の住宅用地であっても申告書を提出することで大きな減額となる可能性があります。

新築の住宅においては新築として建築された後、一定期間において固定資産税が減額される仕組みになっています。

この特例措置を受けるためには新築軽減(減額)申請書の提出が必要となります。

この特定措置を受けられるのは住む目的で利用されることを前提にしている建物です。

そのため、専用住宅や居住分の割合が2分の1以上あることが条件となっています。

住むことを目的として使用されている建物であれば、基本的にはこの条件を満たすことになります。

新築として建てられた住宅用の家屋において、住居として用いられている部分だけが減税の範囲となります。

住むスペースと、商業スペースの両方がある建物では住むために使用している部分だけが減税の対象となります。

専用住居であれば全ての部分が減税の対象となる可能性がありますが、120平方メートルを超える部分はいずれの場合でも減税対象でなくなります。

減額される期間は中高層耐火住宅などの場合は5年間、そうでない場合は3年間となっています。

長期優良住宅の認定を受けていると5年間の減額がなされます。

住宅の耐震改修を行った場合においては一定期間固定資産税が減額される仕組みになっています。

日本では地震が頻発していることもあり、住宅改修が積極的に進められることが推奨されています。

この減税措置はその一環です。

昭和57年1月1日までに建築された住宅であることを条件にしています。

これはそれ以前に建築された住居の中には耐震性能が十分でないものが多いとされているからです。

加えて現行の耐震基準に適合した改修工事であることも条件に入っています。

耐震基準は改定されることもあるので、改修工事の際には注意をしておくことをおすすめします。

それらを満たし、一戸当たりの耐震改修工事費用が50万円を超える際に固定資産税が減額されます。

一定の要件を満たすバリアフリー改修を行った住宅も固定資産税の減額を受けることが可能となります。

これは平成19年4月1日から平成30年3月31日までの間に改修工事を行った住宅を対象にしているので、これから工事を行っても対象とはなりません。

既に行った住居が対象となります。

新築された日から10年以上が経過していることが前提となります。

ある程度住んでいる中、バリアフリー改修が必要となっていることが条件です。

加えてバリアフリーを必要とする方が住んでいることも条件となっています。

バリアフリーを必要とする方としては65歳以上の方、要介護認定または要支援認定を受けている方、障害のある方などが挙げられます。

この固定資産税の減税措置は全ての工事に適用されるわけではなく、補助金などを除く自己負担額が50万円を超えることも条件となっています。

その他、改修後の住宅の床面積が50平方メートル以上であることが前提として挙げられます。

それだけでなく、平成19年国土交通省告示第410号に定められている工事に該当していれば、固定資産税が減額されます。

具体的には廊下の拡幅、階段の勾配の緩和、お風呂場の解消、床表面のすべり止め化、引き戸への取り換えなどが挙げられます。

他にも該当する工事は存在するので、確認したい場合は住んでいる自治体のホームページや国土交通省のホームページをご覧になることをお勧めします。