固定資産税について知る!おさえておきたい基礎知識
固定資産税とは地方税法に基づき固定資産に対して課税される税金のことです。
納税対象者は、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人です。
毎年1月1日時点において資産を保有している人が支払います。
固定資産税は地方税なので、固定資産の所有者は地方自治体に納税の義務があります。
消費税や所得税は売買をしたり収入を得るなどしてお金が動いた時にのみ納税します。
これに対して固定資産税はお金が移動しなくても、一定額を超える固定資産を保有しているだけで自動的に課税されます。
年ごとに税金を納める必要があり、課税額は固定資産の価値(評価額)に基づいています。
固定資産税で課税対象となる固定資産には、土地、家屋、償却資産の3種類があります。
これらのうち、一定の評価額を超えるものに課税されます。
課税されない評価額の基準は、30万円未満の土地、20万円未満の家屋、150万円未満の償却資産です。
耐用年数が1年に満たない償却資産も課税対象から除外されます。
毎年1月1日時点での評価額に応じて課税される金額が決まり、地方自治体から所有者に納税通知が送られて来ます。
固定資産税は保有する資産の価値によって課税額が決定されます。
地方税なので、基本的に地方自治体が自由に税率を決めることができることになっています。
標準税率として資産の評価額に対して1.4%が定められていて、地方自治体はこれに一定の値を乗じた税率を課税することができます。
ほとんどの自治体は標準税率である1.4%を採用していますが、自治体の中には1.4%以外の税率で計算をするケースもあります。
ただし全ての資産に一律に課税される訳ではなく、使用方法によっては税率が軽減される特例措置が存在します。
固定資産税の対象となる固定資産は土地、家屋、償却資産の3つです。
全ての固定資産について課税される訳ではなく、税金が課税される資産と課税されない資産があります。
保有する土地を住居や事業用で利用している場合には、固定資産税の課税対象となります。
土地の評価額については道路に面した部分の1平方メートルあたりの価値(路線価)を基準に算定されるので、実際に売買される価格とは異なる場合があります。
土地の使用用途によっては、軽減措置が適用されることがあります。
土地に建物を建てて使用している場合には軽減措置が受けられる場合がありますが、更地(空き地)には優遇措置が適用されないので税率が高くなってしまいます。
ちなみに駐車場として使用している場合には、更地とみなされます。
住居として保有する不動産は固定資産税の課税対象となります。
具体的には一戸建て住宅やマンションなどが該当します。
一戸建て住宅の場合は土地と建物を分けて評価額が計算されます。
例えば借地に建物を建設して使用している場合には、所有する建物部分だけが課税対象になります。
商業用のビルなどの事業用に使用する場合も、土地とは別に建物部分の評価額に応じて課税されます。
建物は古くなると価値が下がってしまうので、3年ごとに評価額の見直しが実施されます。
土地に建築物が建てられていたとしても、倒壊の危険があるなどの特定空家に指定された場合は更地と同じとみなされてしまいます。
固定資産税というと不動産に対する税金と思われがちですが、動産についても課税対象となるケースがあります。
課税対象となる償却資産には構造物や建造物の付属施設、機械や装置、船舶、航空機、旅客または貨物運搬用の車両、運搬器具、工具や器具などです。
例えば立体駐車場や鉄道車両、フォークリフトなどの特殊車両、ネオンサインや高価な測定装置などが含まれます。
住居の塀や門、事務所や店舗で使用する事務机や陳列棚なども償却資産に該当します。
自動車については自動車税、自動車重量税の対象なので、固定資産税は課税されません。
固定資産の中には軽減措置ではなく、課税対象外となるケースがあります。
これは、一定の条件を満たす場合に地方自治体は固定資産税を課税してはいけないという法律(地方税法)に基づいています。
固定資産税が非課税となる資産には「人的非課税」と「物的非課税」の2種類が存在します。
人的非課税とは資産の所有者によっては非課税となる制度で、国、地方自治体、公的な団体や組合などが保有する資産のことです。
例えば国有地や役場、公立の学校や病院、役所、公共施設や道路などがこれに含まれます。
物的非課税とは、固定資産の使用目的によって非課税となる制度です。
例えば墓地や私有地で公衆用の道路に使用している土地があります。
他にも宗教法人、学校法人、社会福祉法人などが所有するか、これらの団体に無償で使用させている資産などが含まれます。
具体的には寺院や教会などの宗教施設や、私立学校、病院、老人ホームなどが該当します。
固定資産税評価額はあくまで固定資産台帳に記録されている不動産そのものの価値のことです。
まずは土地の評価額についてみてみましょう。
土地の固定資産税評価額は適正な時価によって導き出されます。
不動産鑑定士によって土地の時価は算定されるものです。
土地の評価額は宅地とその他の土地に分けて算出されます。
宅地の場合は土地の面積、現在の土地の利用目的や形状、立地等と固定資産税路線価より計算されます。
固定資産税路線価とは道路につけられている価格のことです。
実際に土地が接している道路の価格を基に土地の時価が産出されます。
その他の土地の場合は近くの標準宅地の単価と比較して求められます。
標準宅地は市町村によって定められているため、これ、とはなかなかいえませんが、状況の類似している地区ごとに分けて、道路に沿接していて、奥行き、間口、形状から標準的であると認められる土地になります。
その標準宅地の単価を基に土地の形状の違い、立地から比較して求められます。
道路に接している部分の長短、形状が長方形に近いこと、幹線道路に接しているか、等の点を考慮して減算されていきます。
こうして求められた土地の時価に70%を乗じた後、補正して土地の固定資産税評価額が決定するのです。
建物の固定資産税評価額は評価対象の建物を新たに新築で建てようとした場合の建築費用を基にして算出されます。
経過年数や建物の傷みを考慮して減算されたものです。
こうして土地も建物も評価額は時価のおよそ70%前後に落ち着くように調整されていきます。
建物の評価額は経年とともに減るものとして扱われます。
この評価額は固定資産課税台帳に記録されておりますが、3年ごとに評価替えが行われます。
これは地形の変化や著しい地価の下落があった場合を除いて3年間有効な地価の評価額なので注意しましょう。
この評価額は次の課税標準額にも関係があります。
また、この評価額を知りたい場合は年度始めに送付されてくる固定資産税の納付通知書に記載されているので、そちらを確認してみましょう。
まず、課税標準額は課税の対象となる金額のことです。
これに1.4%を乗じて税額を計算します。
本来であれば評価額と一致しても良いものなのですが、土地の場合は実際はしていないことも多いです。
それは政策な配慮によるもので、課税標準額を安く算出するようになっているからです。
まずは土地についてみてみましょう。
宅地の課税標準額は宅地とその他の土地によって異なります。
宅地の場合は時価の70%が評価額になり、さらにその評価額の65%から70%が課税標準額になるように調整されます。
つまり、宅地の場合は時価の半分程度が課税標準額になると考えておけば良いでしょう。
また、農林山地はこのような配慮はないため、評価額と課税標準額が一致するようになっています。
建物における課税標準額も農林山地と同様に調整は行われず、評価額と課税標準額が一致する仕組みのため、額に変化はありません。
そのため、課税標準額が異なるのは宅地のみとなり、注意をしましょう。
宅地の課税標準額の場合は特例があります。
それが小規模宅地と一般宅地です。
まず、小規模の宅地とは住宅敷地が200平米い以下の宅地のことです。
この場合は評価額に6分の1を乗じて算出されます。
次に一般住宅地とは住宅の敷地が200平米を超える分であっても、床面積の10倍までの面積を評価額の3分の1になるように計算されます。
この特例は家屋と店舗が併設している場合でも家屋における住宅部分の床面積が4分の1以上の場合にも認められます。
これらの特例措置に関しては特に書類による申請や申告を必要とせず、原則として認められている措置です。
これにより、課税標準額が評価額よりも少ない額になるのです。
もう一つの特例は負担調整措置です。
これは3年に一度の評価替えの時に適用されます。
評価替えの時に著しい地価の上昇があった場合、急激に納税者の負担が増えます。
そうすると支払いができなくなってしまう可能性があるため、負担調整措置が取られるのです。
この場合、急激に地価が上昇した場合でも、固定資産税課税標準額の上昇率はわずかなものに留めることができます。
前年の課税標準額に一定の上昇率を乗じて課税標準額を決定するのです。
新しく土地建物を購入する場合、固定資産税を試算してみると思います。
その時に時価で計算して高いな、と驚く方もいると思います。
実際には課税標準額を用いて算出されるので、時価に着目せずに課税標準額に着目するようにしましょう。
また、税額はあまり高額にはならないように調整されています。
もしもあまりにも高額すぎる場合には市町村に申し立てをする等行動してみましょう。
固定資産税の徴税対象となるのは、土地と家屋そして償却資産です。
それぞれ評価方法が異なり、計算によって導き出された額を、住んでいる東京都あるいはその他地方自治体に納めなければなりません。
計算そのものは単純で、例外はありますが標準税率1.4%にそれぞれ割り出した課税標準額を掛け合わせるだけです。
しかしその標準額を算出するのに複雑な手順が必要になります。
税率に掛け合わせるための課税標準額を導き出すためにはまずその固定資産の価値を計る必要がありますが、それには固定資産評価基準というものを使用します。
これは総務大臣から告示されているもので、対象の種類や計測方法など具体的な評価方法が細かに記載されています。
そして長くても1年程度の間しか空けずに改定が繰り返されているものです。
評価には点数方式が用いられ、その点数とそれぞれの価値を組み合わせて値が割り出されます。
固定資産税の対象となっている土地は、まずその面積を知らなければなりません。
投棄されているのであればそちらを、なければ計測する必要があります。
そして土地はその使用方法にも着目されます。
大きく分ければ、田畑と住宅そして山や沼などの自然状態です。
宅地であれば地価公表額の大体7割程度が目安となっています。
家屋の評価額を算出する計算には、ふたつの要素が必要です。
ひとつはその建物を一から新築で建て直す場合にかかるであろう再建築価格で、もうひとつが経年によって価値が下がっていくことを考慮した経年減点補正率です。
主にこのふたつを組み合わせて算出されます。
家屋の評価を算出するために確認されるリストには、コンクリートや柱の状態の他、仮設工事の必要性まで至るところが網羅され、細かく分類されています。
事業に使うために保有している償却資産はそれを取得した時の価格から、家屋と同じように経年原価率で引いたものが基本です。
事業によって非常に幅広いものが対象となり、中には経年で価値が大きく下がるものがあります。
そのこともあってか償却資産の評価には最低限度額が決められていて、取得価格の5%を下回ることはありません。
例外を除いて、土地で30万円の価値しかないものは固定資産税を払う必要がありません。
同じように宅地であれば20万円、償却資産は150万円がその基準線です。
これが固定資産税で評価する上で必要な最低限の知識です。
固定資産税を評価する際には、さまざまな状況を考慮して評価額が変化する例外が設けられています。
それは各地方自治体によって異なることもあれば、その土地の状態にもさゆうされるものです。
固定資産税において評価する場合、特に農地の算出が非常に複雑になっています。
土地はまず、都市計画区域かどうかという振り分けがされます。
その中には既に市街化が形になっていたり、10年以内に優先的に市街化が進められる市街化区域とその域外、そして調整中であるところと線引きが曖昧なところの4種類があります。
これらは基本的に一般農地と呼ばれ、負担調整など細かな点こそ異なりますが通常の農地評価がされます。
多くは一般農地に分類されて評価もそれに準ずるものですが、首都圏や近畿圏など都市圏周辺にある農地などいくつかの例外が存在します。
それらは一般農地に分類されず、全てが市街化区域に相当するため、評価は宅地としておこなわなければなりません。
固定資産税には評価額の急激な上昇を防ぐなどの目的のために、特例が設けられていることがあります。
大体は評価が終わった後に計算されるものですが、評価額が下がったのに徴税量が上がったということも頭の片隅に留めておいた方が良いです。
固定資産税の評価をするために必要な箇所は非常に細かく分類されていて、念入りに確認されますが、結局は人がおこなっているものなので多少上下することがあります。
高すぎる評価額を付けられたあげく徴収量も多くなってしまったということも考えられないことではありません。
そんなときは不服申し立てをすることができます。
交付されてから60日以内に書面でおこなう必要があり各種手続きをしなければなりませんが、徴税量が減額される可能性もあり得ることです。
●まとめ
固定資産税の評価は、土地、家屋、償却資産で異なります。
大まかに言うと土地そのものは面積と時価を掛け合わせたもの、家屋は建てるのに必要な額から経年劣化分を引いたもの、償却資産は取得した価格から経年分を引いたものです。
細かなルールは多数存在しますが、基本的には需要が高く実際に使用されていることが多い点や、投じた費用が大きくかつそれが新しい点が評価を高めるといったシンプルなものです
固定資産税は課税対象の固定資産の評価額に対して1.4%に相当する金額を地方自治体に納付しなければなりませんが、土地や建物などの用途や一定の条件を満たす場合には税率が軽減される特例が存在します。
所有する資産が特例の条件に該当する場合、1.4%よりも低い税率で納税額が算出されます。
特例制度が適用される条件を知っておけば、住宅を購入したり改修を行う場合などに節税に役立ちます。
自分が保有する土地や建物などの資産について特例が適用される条件を満たしていたとしても、自動的に税金が減額される訳ではありません。
特例制度で税率を軽減してもらうためには、各自治体に自分で申告を行う必要があります。
自治体ごとに申告書類を提出する方法が異なるので、手続の方法については地元の役所で問い合わせることができます。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に納税額が記された納税通知書が送られてきます。
毎年3月頃に計算が行われ、通知書が発送される時期は4月です。
もしも3月頃に役所に申告書類を提出すると計算に間に合わない場合があるので注意が必要です。
納税通知書には評価額と税率、納税額が表示されているので、申請後に特例による減額が適用されているかをチェックする必要があります。
自治体ごとに書式が異なりますが、特例が適用されない場合の税額と適用後の金額の両方が明記されているので確認するようにしましょう。
固定資産税の特例が適用される条件は地方税法などによって定められています。
住居に使用している不動産や、一定の条件を満たすような住宅に適用されます。
基本的に誰かが住んでいる住宅であれば、特例制度が適用されて固定資産税の税額が減額されるケースがほとんどです。
住宅の場合は土地の面積や建物の種類や構造によって減額の条件や計算方法が細かく分かれているので、自分が所有する住宅がどれに該当するのかを把握しておく必要があります。
住宅を所有している場合には、土地の部分について「住宅用地の特例」が適用されます。
住宅用地とは住居の建物と、一体になっている庭や自家用車用の駐車場なども含まれます。
アパートなどの集団住宅が建てられている場合でも住宅用地とみなされて減税の対象になります。
住宅用地の特例では、小規模住宅用地(住宅1戸につき200平方メートル)と一般住宅用地(小規模住宅用地以外)の2段階に分かれています。
小規模住宅用地は基本的な課税額に対して1/6、一般住宅用地は1/3に減免されます。
基本的に居住可能な住宅が建てられている土地であれば、税金が減額されると考えることができます。
期間限定の特例措置として、2020年3月31日までに新たに建設された住宅に対して固定資産税が減額されます。
具体的にはこの期間中までに新築された住宅の建物部分について、3年間にわたり固定資産税が1/2に減額されます。
減額が適用される条件は、住居部分の面積が1戸あたり床面積が120平方メートルまでです。
これを超える分については減額が適用されません。
3階建以上の耐火、準耐火建築物は、適用期間が5年間となります。
認定長期優良住宅を新築した場合には、新築後5年間にわたり120平方メートル分まで建物の固定資産税が1/2に減額されます。
中高層耐火建築物であれば、税金の減額期間は新築後7年間となります。
昭和57年以前に建築された古い住宅に平成30年3月31日までに改修工事を実施する場合、120平方メートル分までの建物部分の固定資産税の減額措置が適用されます。
費用が50万円以上の工事に適用され、翌年度分のみ建物の税金が半額(東京23区以外)となります。
ただし東京23区内に限り、減額される税金の割合は100%となります。
既存住宅をバリアフリー改修すると、工事が完了した翌年度分のみ1/3分が減額されます。
減税は100平方メートルの床面積分まで適用され、工事を実施する時期の期限は定められていません。
「特定空家」住居用の住宅が建てられていれば基本的に土地に対する固定資産税が1/3または1/6に減額されますが、老朽化した空家の場合は特例が認められない恐れがあります。
以前は老朽化して居住が不可能な状態であっても住宅があれば減税されましたが、現在は特定空家に認定されると更地として高い税率が適用されてしまいます。
特定空家の条件ですが、倒壊の危険がある著しく衛生上有害となる管理が行われておらず景観を損なっているなどがあります。
以前は税金対策で廃屋を放置するケースが多かったのですが、現在は減税が認められずに標準税率で固定資産税が課税されるようになったので注意が必要です。
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