民泊経営は稼げる?メリット・デメリットや必要書類を徹底解説
外国人観光客の増加に伴い、急激にその需要を伸ばしている民泊。
従来の宿泊施設とは大きく異なり、民家に宿泊させるという新しい形態として、話題を呼んでいます。
Airbnbなどの民拍関連サービスの登場や民泊新法が各種メディアで報道されたことも手伝い、今また注目を集めていますが、民泊を経営するためにはどんなことが必要になってくるのでしょうか。
ここでは、民泊経営をする上でのポイントを、そのメリットやデメリットを交えて紹介します。
民泊は、その需要も然ることながら、不動産を有効活用できる収入源としても注目されています。
普段使わない空き家や自宅の一部を活用するのはもちろん、民泊用に一から物件を準備して経営するなど、ひとつのビジネスモデルとしても確立されつつあるのです。
そんな民泊を始めるまでの流れをまとめました。
民泊と一言にいってもいくつかの種類に分かれており、その種類によってはじめ方が異なってきます。
まずは、自身の持つ不動産や経営の方針に合わせて、適切な方法を選択し、事前に申請などを済ませておく必要があります。
旅館業民泊とも呼ばれ、営業日数などの制約が無いため本格的に民泊で収益を得たい人に向いていると言えます。
建物の床面や営業できる地域の制限があるのが特徴で、営業するためには営業許可が必要になります。
安定した収益が見込みやすい反面、消防法や建築基準法など、満たさなければならない条件が多く、民泊をはじめるハードルとしては最も高い方法です。
●特区民泊
営業可能な地域が国指定の特区に限られている種類の民泊です。
旅館業民泊に比べると建物の制約は少ないですが、宿泊日数が二泊三日以上(地域によっては六泊七日以上)という制約があり、宿泊客の需要を考えると厳しい条件となります。
自治体によって用途地域の制約は異なるため、民泊経営を予定している地域の制約次第では、選択する価値のある方法と言えます。
民泊新法は2018年6月に施行された比較的新しい制度で、各種制限事項が少なく、最も始めやすい民泊です。
事前に届出は必要になりますが許可制ではなく、オンラインで届出が可能です。
用途地域に関しても住宅専用地域で営業可能であるなど、自由度が高いです。
ただし、あくまでも「住宅」を宿泊施設とすることを前提とした制度であるため、年間で営業できる日数が180日以内に制限されることに注意が必要です。
民泊経営をするには、なんと言っても宿泊者を受け入れる宿が必要です。
自身の所有する不動産を活用する場合でも、適用される法律、制度にあわせて物件が条件をクリアできる状態にしなければなりません。
そのため多くの場合、民泊経営を始める際には、建物のリフォーム費用などがかかることを想定しておくと良いでしょう。
また、外国人観光客をターゲットとする場合はデザインを和テイストにするなど、コンセプトを持たせてリフォームするのも良いです。
民泊新法を適用する場合は物件の制限が少ない分、初期コストを抑えることもできるので、費用が気になる方にはおすすめです。
民泊を利用する人が民泊を選ぶ最も多い理由は、その費用の安さです。
そのため、宿泊施設自体に過度な期待をしている人は少ないでしょう。
とはいえ、数ある民泊の中から自身が経営する宿を選んでもらうためには、最低限の設備をそろえておく必要はあります。
冷蔵庫や洗濯機、ドライヤーなどの主要な家電から、トイレットペーパーやティッシュなどの消耗品も考慮しておく必要があります。
また、インターネット環境や電子ケトルなど、必須ではありませんがあると嬉しい設備を充実させることで、他の宿との差別化を図るのも良いです。
外国人観光客を受け入れる可能性が高いので、文化の違いからおきるトラブルを防止するためにも、注意事項や禁止事項などを記載した多言語対応のマニュアルも用意しておくと良いでしょう。
宿泊施設としての準備が整ったら、いよいよ集客をしていきます。
まずはAirbnbなどの大手民泊サービスに登録するのが近道でしょう。
一つのサービスのみに登録するのではなく、できるだけ複数のサービスを活用して集客していくほうが効率は良いです。
自分で集客していくことが難しいと感じた場合は、民泊運営の代行業者を活用するのも、有効な手段です。
✔民泊には種類があるので違いを理解したうえで必要な各種手続きを進める
✔制度によって決められた制限をクリアできるようにリフォームの費用を見込んでおく
✔外国人に対応できるように多言語対応のマニュアルを準備しておく
民泊経営にあたり、どの制度においてもいくつかの申請が必要です。
申請をせずに営業してしまった場合、無許可営業として罰則の対象になりますので、必要な各種申請は確実に実施するようにしましょう。
ここでは、比較的申請が簡単な民泊新法(住宅宿泊事業)で必要な申請について紹介していきます。
民泊新法の場合、許可制ではありませんが、当該地域の都道府県知事へ事前の届出が必要です。
「住宅宿泊事業届出書」という書類が各自治体のホームページから入手可能なので、必要事項を記入して提出しましょう。
法人と個人で記載内容が若干異なりますが、いずれにしても居室の面積や不動産の図面などが必要になるので、早めに準備しておくと良いです。
また、自治体によって微妙に必要情報が異なり、別途書類の提出を求められる場合があります。
書類不備によって何度も提出をすると余計に時間がかかるので、事前に確認をしておくと効率よく進めることが出来ます。
諸手続きの完了まで大体2週間程度といわれているので、開業したいタイミングに合わせて余裕を持って手続きを進めておくと良いでしょう。
住宅宿泊事業における民泊には、「家主居住型」と「家主不在方」の2種類があります。
家主居住型とは、自宅で使っていない1室を宿泊用に利用するなど、普段住居として使っている不動産の一部を提供する形態です。
基本的に同じ建物内に家主が居住している状態となります。
対して家主不在型とは、宿泊客が利用する住居内に家主がいない場合の形態です。
空き家となっている不動産を有効活用して民泊経営を行うような場合、これにあたることが多いです。
普段住居として使用している場合でも、宿泊客の滞在期間中に家主が不在の場合にも、これに該当します。
家主不在型の場合、家主が宿泊施設の管理や宿泊客の対応を行うことが困難である場合が多いため、それらを外部の業者に委託することが義務付けられています。
住宅宿泊管理業者の主な仕事は、「宿泊施設の適切な清掃」、「宿泊客への説明などの情報提供」、「クレームや問い合わせの対応」などです。
委託費用が別途かかってくるため収益についてはあまり期待できませんが、普段人の入らない不動産が手をかけずに管理していけるので、その目的で民泊経営を始める人もいます。
民泊経営を始めるとそれによる収益が発生するため、税法関連の各種手続きが必要となってきます。
毎年の確定申告や、個人事業主としてはじめるのであれば開業届など、民泊関連の法律、制度に限らず、各種法令遵守に努めましょう。
✔民泊新法(住宅宿泊事業)では住宅宿泊事業届出書の届出が必要
✔家主不在型の場合は住宅宿泊管理業者への委託が必須となる
✔収益が見込まれるので民泊関連以外にも税金関連の手続きも忘れずに
需要も高く気軽に始められる民泊経営ですが、何も考えずに始めてしまうと目的がぶれて思うようにいかなかったり、思わぬ損失を被ったりする可能性があります。
せっかくの民泊経営の成功確立を少しでも上げるためにも、メリットとデメリットを把握し、必要な対応を行っていくことが重要です。
不動産は、持っているだけで固定資産税がかかったり、定期的なメンテナンスなどの管理費用がかかったり、意外と負担が大きいです。
また、人が出入りしないと建物の劣化が早くなるため、空気の入れ替えや掃除などの負荷が高いといった面もあります。
そういった物件を民泊として有効活用することが出来れば、諸費用を補うだけでなくプラス収支を得ることも十分に可能です。
また、人が出入りすることで建物の劣化もある程度防ぐことが出来ます。
民泊利用者は、外国人観光客の比率が高いです。
家主居住型の場合、短い期間とはいえ同じ屋根の下での生活となるので、普通に生活していては関わる機会がほとんどない外国人との交流が生まれます。
それも決まった国の人ではなく、短い期間で様々な国の人が宿泊する可能性があるため、多様な文化に触れることも出来るのです。
宿泊客にとっても、慣れない土地で親切に接してくれる現地人というのは安心感を得られることでしょう。
良好な関係を築くことが出来れば、楽しいひと時が過ごせそうです。
異文化交流に関しては、人によってはデメリットにも捉えられるかもしれませんが、ホームステイ間隔で宿泊客との交流を楽しむ民泊経営者も存在します。
使っていない不動産や民泊専用に用意した不動産ならば、このリスクは通常の宿泊施設経営と変わりません。
しかし、これが普段生活している住居となると、考慮すべき範囲が増えることになります。
自分たちが日常的に使っている設備や居室を宿泊客が使うこともあるので、生活に影響が出ることも考えられるのです。
滞在中に発見できれば、程度によって弁償してもらうなどの対応が可能ですが、連日宿泊客が入れ替わっていく中で、いつ壊れたかわからない設備などはそれも出来ず、泣き寝入りとなる場合がほとんどでしょう。
汚れたり壊れたりした場合の影響が大きいものについては、物損系の保険に入っておくか、宿泊客が帰る前に重点的にチェックするなど、個別に対応できるようにしておくほうが良いかもしれません。
民泊は、生活範囲の中に宿泊客が出入りすることになるため、近隣住民とのトラブルが起きやすい性質があります。
民泊新法では住宅宿泊事業の届出住宅に対して、それがわかるように標識を掲げることが義務付けられるので、民泊経営をしていることはある程度周知することは可能です。
しかし、それがわかっているからといって見知らぬ人が周辺をうろつくというのは気分の良いものではなく、警戒する人も多いようです。
特に多いのは、騒音やゴミの始末に関するトラブルです。
宿泊客が深夜に周辺道路や室内で騒いだりゴミを放置することで、家主にクレームが飛び、大きなトラブルに発展するケースもあります。
特に外国人観光客は、悪意ない行動でも文化の違いから問題になるケースもあるため、事前に注意事項を説明しておくなどの対策が必要になります。
✔不動産の所有コストを補うだけでなく建物の劣化防止が期待できる
✔外国人観光客との交流で貴重な体験をすることができる
✔宿泊客には事前にしっかりとルール説明をしておくことが重要
民泊な需要が高く、もとから持っている不動産を活用すればコストも抑えられるため、通常の宿泊施設の経営と比べれば失敗のリスクは低いと言えます。
それでも全ての民泊経営者が成功しているわけではなく、当然失敗してしまうケースも多々あります。
それでは、民泊経営の成功、失敗にはそれぞれ、どのような特徴があるのでしょうか。
民泊経営の成功は、結論から言えば「正しい知識で適切な判断をしている」ケースです。
ここまで紹介してきたように、民泊と一言に言っても種類は様々で、民泊経営を行う目的次第で準備も変わってきます。
不動産を所有していればそれにあわせてうまく制度を活用していくのがよいですが、ビジネス目的で不動産から探すとなれば選択肢は広くなるため、より細かい制度理解が必要になります。
不動産の有効活用、ビジネス目的で共通して言えるのは、成功している人ほど制度の正しい理解と、自身の目的の明確化が出来ているということです。
失敗例は成功とは逆で、「簡単に儲かると聞いてとりあえず始めた」というケースです。
民泊経営を始めたはいいが、制度の制限によって予定していた収益が得られず、初期費用をなかなか回収しきれない、という失敗事例はよく聞きます。
また、目的がぼんやりした状態で進めてしまうのも失敗の要因となりがちで、特に空き家などの不動産を有効活用した場合に失敗となりやすいです。
空き家の民泊経営の目的としては固定資産税分の回収や不動産の劣化防止が多いのですが、民泊経営を始めること自体に意気込んで建物を大改造し、かかってしまったリフォーム費用を回収しようと必死になっていては、空き家のメリットである初期コストの削減が台無しになってしまいます。
民泊新法で定められている180日以内の営業日数制限、設備準備費用の肥大化、管理委託費用の考慮漏れなど、原因は様々ですが、事前調査、見込みの算出、目的の明確化を確実に実施しておけば、回避可能な場合がほとんどです。
✔民泊経営を始める前には各種制度の理解を深めておくと良い
✔民泊経営の目的や不動産の状況に合わせた適切な選択が重要
✔事前調査無しで見切り発車は危険な失敗パターン
簡易宿所営業は満たさなければいけない基準が多く、特区民泊はそもそも許可している地域が少ないなど、民泊経営を始めるまでのハードルが高くなります。
所有している不動産の有効活用であれば民泊新法の範囲で考えたほうが負担は少なくすみます。
簡易宿所や特区民泊は、宿泊施設経営としてのビジネスモデル向けといえるでしょう。
比較的制限事項の少ない民泊新法ですが、最大の制限事項といえるのがこの制約です。
民泊新法で対象としているのはあくまでも「住宅」であるため、普段は住宅として使用しているけれど使っていないときは有効に使える、という程度の日数に営業日数が制限されています。
民泊新法に関しては届出ですみますが、少なくとも届出の申請は必須です。
どの種類の民泊を経営するにしても何かしらの申請は必要になるので、確実に行うようにしましょう。
無許可での営業は処罰対象となり、懲役刑や多額の罰金、営業のペナルティが課せられる可能性があります。
今後、国内外の旅行者数は年々増加していき、それに比例して民泊の需要は一層高まっていくと予想されます。
民泊新法によって、これまで高かった民泊経営のハードルも低くなり、集客や情報収集に便利なサービスも増えてきました。
始めるまではわからないことも多く、なかなか踏み出すことが出来ないかもしれませんが、各種制度を正しく理解し、目的を持って進めていけば、失敗のリスクは最小限にすることができます。
この機会に、持て余している不動産の活用を考えてみるのはいかがでしょうか。
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