相続不動産の売却にかかる税金と節税する3つの方法!
相続した不動産売却をする際にかかる税金は、不動産をどのくらい所有しているかによって大きく異なります。
今回は、相続不動産売却にかかる税金・税金を節税する3つの方法を紹介していきます。
相続した不動産の売却時にかかる税金には次のようなものがあります。
①譲渡所得税
②印紙税
③登録免許税
④仲介手数料消費税
不動産を売却して利益が発生した場合にかかる税金で、売却後に算定されます。
譲渡所得税には、国税である所得税と地方税である住民税があります。
税率は次の通りです。
●所得税
長期譲渡所得(所有が5年を超える場合) | 15% |
---|---|
短期譲渡所得(所有が5年以内の場合) | 30% |
その他復興特別所得税 2.1% 加算が加わり
長期譲渡所得税+復興特別所得税 | 15+(15×0.021)=15.315% |
---|---|
短期譲渡所得+復興特別所得税 | 30+(30×0.021)=30.63% |
●住民税
住民税―長期譲渡所得 (所有が5年を超える場合) |
5% |
---|---|
短期譲渡所得(所有が5年以内の場合) | 9% |
長期譲渡所得(所有が5年を超える場合) | 20.315% |
---|---|
短期譲渡所得(所有が5年以内の場合) | 39.63% |
土地を初め10,000円以上の取引であれば印紙税はかかります。
契約金額 | 印紙税 |
---|---|
100万円超え500万円以下 | 2,000円 |
500万円超え1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超え5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超え1億円以下 | 60,000円 |
原則的に買主が負担するものですが、現住所と登記上の住所が異なる場合の正しい住所への住所変更登記と、売却する土地に抵当権がついている場合の抵当権抹消登記は売主が負担するのが一般的です。
費用は不動産1件に付き1,000円です。
不動産仲介会社の仲介手数料には消費税がかかります。
仲介手数料の上限は消費税額8%の場合は次の通りです。
売買価格 | 手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 5.40% |
200万円超、400万円以下 | 4.32%+2.16万円 |
400万円超 | 3.24%+6.48万円 |
✔︎譲渡所得税には、国税である所得税と地方税である住民税がある
✔︎10000円以上の取引であれば印紙税がかかる
✔︎不動産会社による仲介手数料は税金がかかる
相続不動産売却時にかかる税金の計算方法は下記のようになります。
譲渡所得額 | 売却価格―(取得費+譲渡費用) |
---|---|
譲渡所得税 | 譲渡所得額―譲渡所得の特別控除額 |
相続不動産を売却した時の売値です。
取得費とは、不動産を購入する際に必要になった費用です。
相続特有の要素として、被相続人が所有した時期と価格が相続人に引き継がれます。
取得費に含まれるものとして次のようなものがあります。
- 土地購入代金
- 建物取得費(建物取得費=取得価格―原価償却費相当額)
- 取得時の登録免許税
- 不動産取得税
- 売買契約書、建築請負契約書の印紙代
- 購入時の不動産仲介手数料
- 整地、埋め立て、盛り土、下水道費用など
- 建物のリフォーム費用、改築費用、給湯設備の設置費など
- 住宅ローンの事務手数料
- 借主がいた場合の立退き費用
- 土地造成費用
- 土地購入のための土地測量費
- 土地購入のための建物取壊費用
不動産を売却するために支出した費用をいいます。
譲渡費用には次のようなものがあります。
- 売却時の不動産仲介手数料
- 不動産登記費用
- 土地売却のための土地測量費
- 売買契約書印紙代
- 売却時に借家人などに支払った立退き料
- 建物を取り壊して土地を売る場合の建物解体費用
- 売却のための土地造成費用
譲渡所得から差し引くことができる特例や控除があります。
居住用不動産の売却の場合の、居住用不動産の3,000万円控除や所有期間10年超の自宅を売却した場合の軽減税率などがあります。
✔︎譲渡所得額は売却価格から買うときにかかった費用と売るときにかかった費用を引いたもの
✔︎譲渡所得税は譲渡所得額と譲渡所得の特別控除額を引いたもの
売却するに際して節税するには次のようなものがあります。
相続した不動産物件の売却は一定期間以内(3年10カ月以内)に行えば取得費に相続税の一部を加算できます。
加算できる相続税額は土地・建物にかかったものです。
取得費加算額=支払った相続税×売却した不動産の相続税評価額÷その者が取得した相続財産総額
この特例を受けるための要件は以下の3つです。
①相続によって財産を取得した者が売却したこと
②その財産を取得した者が相続税を支払ったこと
③相続開始日から3年10カ月以内に売却したこと
自らの住んでいる自宅を売却した場合、譲渡所得(利益)が3,000万円以下であれば、それを無くしてくれるというものです。
所有期間の長短に関わりなく適用することが可能で、他の駆除とも併用して使うことができます。
特例を受ける条件としては次のようなものがあります。
①自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
②住まなくなった日から3年までに売ること
③売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
この特例は1人に付き最大で3,000万円の控除が可能であり夫婦で共有している場合は夫婦それぞれが3,000万円の控除が可能になり合計6,000万円の控除が可能になるものです。
所有期間が10年を超えている自宅を売却した場合で、かつ譲渡所得が3,000万円を超えている場合にその超えている部分(6,000万円まで)に課税される税率が軽減される特例です。
先述の3,000万円の特例との併用が可能です。
課税譲渡所得金額(=A) | 6,000万円以下 | 6,000万円超 |
---|---|---|
税額 | A×10% | (A-6,000万円)×15%+600万円 |
この軽減税率の特例を受けるには、次の5つの要件全てに当てはまることが必要です。
①日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
②売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
③売った年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと
④売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと
⑤親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと
特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
不動産の売却に関する税は分離課税ですので確定申告が必要となります。
確定申告は個人のことですから自分で行わなければなりません。
規模が大きければ税理士に依頼することもあるでしょう。
なお、確定申告が必要なのは原則として収入があった場合です。
被相続人が購入した時よりも土地価格が下落したり、物件の老朽化により価格が下落した場合などで、損失になった時は、確定申告は不要になる場合があります。
しかし、税の控除を受ける場合の特例などでは必ず確定申告が必要となります。
必要な書類は下記の通りです。
①譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕
②売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書
①売却した不動産の売買契約書類
②売却した不動産購入時の売買契約書類
③仲介手数料や印紙税など諸費用の領収書
④売却した不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
⑤住民票の写し
これらの特例に関して、マイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所と、そのマイホームの所在地とが異なる場合などには、下記のものが必要になる場合があります。
・戸籍の附票の写し
・消除された戸籍の附票の写し
・その他、マイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするもの
確定申告の作成で不明な点があれば、税務署でも相談にのってくれますが、税務署以外でも無料で相談にのってくれる相談窓口はあります。
それらは主に、
・市町村が主催している相談窓口(確定申告の時期のみ)
・税理士が加盟している税理士会
です。
税の専門家が教えてくれるので安心して相談することができます。
✔︎税の控除を受ける場合の特例などでは必ず確定申告が必要
✔︎居住用不動産の3,000万円の特別控除の場合、譲渡所得の内訳書や敷地の登記事項証明書が必要
相続と相続した不動産を売却する際に必要な税金は相続税、不動産取得税、住民税などです。
同時に相続した居住用資産への税の特別控除の配慮もあります。
税制上の規定では、譲渡所得の特例、特別控除として各種のものがありますが、多くは自宅の居住用資産を根拠にしているものです。
居住用の資産を売却するのはそうせざるをえない事情があることへの配慮で、税制からも居住用資産であるこれらの特例について認識しておきましょう。
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