ホーム >> 不動産コラム >> 土地活用 >> 借地権ってなに?借地権付き建物のメリット・デメリットを徹底分析
更新日 2019.10.1

借地権ってなに?借地権付き建物のメリット・デメリットを徹底分析

この記事を執筆した人
smileの画像
-Smile編集部-
この記事は、Smile編集部が作成した記事です。
Smileでは、不動産をテーマに不動産売買や不動産投資について情報発信をしています。
Smile編集部が監修した他の記事はこちら→

借地権とは

_SMILEの画像

借地契約とは、建物の所有を目的とする土地の賃貸借です。

建物の所有を目的とする土地の貸借権のことを借地権といいます。

借地借家法では借地人を保護することを目的として、民法よりも有利な規定を設けています。

民法の賃貸借契約の規定をそのまま適用すると、契約の存続期間が短くなってしまうため借地借家法ではこの権利の存続期間は30年となっているのです。

また契約期間が満了した場合は、契約を更新することも可能ですが更新後の期間は最初の更新の場合は20年、2回目以降の更新の場合は10年となります。

これらの期間は契約でこれより長い期間にすることも可能ですが、短くすることはできません。

借地権の存続期間が満了しても借地上に建物がある場合は、借地人が継続して土地を使用しているときは前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。

地主が更新を拒絶するためには、正当な事由がなければなりません。

借地権が存在していることを借地契約関係のない第三者に主張するには、本来ならば借地権の登記が必要です。

しかしこの権利の登記をするためには、貸主である地主の協力が必要とされているので実際には困難です。

そこで借地借家法では土地の借地権について登記がなくても、借地上に建物を建てて借地人名義で建物の登記をしていると、この権利を第三者にも主張できるようにしています。

契約期限が来て土地を返さなければならないが借地上に建物が残っている場合や、地主が借地権の譲渡や転貸を承諾してくれない場合には、借地人は地主に対して建物を買い取ってくれるように請求できます。

普通借地権の土地で契約を締結をする場合に貸主が気を付けることは、借主を特定するという点です。

小規模な個人経営の経営者と賃貸契約をする場合、借主が法人である会社なのか個人である経営者なのかが曖昧になってしまうことがあります。

しかし借主が誰なのかを明確にしておかないと、将来のトラブルの原因となってしまうことがあるのです。

たとえば賃料不払いがあり、経営者個人が借主であると考えて経営者の財産から賃料債権を回収しようとする際に、経営者の側から借主は会社であると主張されると経営者個人の財産から賃料債権を回収することができなくなってしまう可能性があります。

また借主の資力にも気をつけなくてはなりません。

借地借家法により、この権利の存続期間は原則として30年以上としなければなりません。

借地権の存続期間が長期に渡るため、借主による賃料の支払いが滞ってしまうと貸主は大きな損害を被ってしまいます。

そのため借地権設定契約を締結する際には、借主が賃料の支払い期日を守る人物であるか、借主に賃料を支払うだけの十分な資力があるかを調査する必要があります。

契約締結の際には、借主は土地の現況調査をする必要があります。

現況調査により土地の上に建物が建っていることが判明した場合には、土地を借りる日の前までに建物を撤去してもらえるのかどうかを貸主に確認します。

また現況調査の中で借地の境界がどこなのかを確認しておきましょう。

契約締結の前に登記事項証明書を取得し、調査しておく必要があります。

登記簿謄本でまず確認しておくことは土地の所有者が誰かという点です。

土地の貸主と所有者が一致しているのであれば問題はありません。

しかし貸主と所有者が一致していない場合、その土地は転貸しされている可能性があります。

土地の転貸しには所有者の承諾が必要ですので、土地の所有者に事実関係を確認しておく必要が生じるのです。

3種類の定期借地権を徹底解説!

定期借地権というのは一定の要件を満たした場合に認められる、更新のない借地権のことを言います。

これによって借地の利用の幅を広げる効果があるのです。

定期借地権は契約の更新、建物再築による存続期間の延長がなく、契約終了時の借地人からの建物買い取り請求も排除することができます。

定期借地権は平成3年に施行された、借地借家法で認められた制度です。

普通借地権の借地契約では、借地権の契約満了時建物がある場合地主は正当な理由がない場合には、契約が更新されることになっています。

定期借地権は、このような契約更新を認めず期間満了時には必ず地主に土地を返還するという条件が付いた借地権です。

地主への土地の返還されるのが約束されるので、借地にすると戻ってこないというイメージから借地であった地主でも、柔軟に土地を運用することが可能になりました。

借地料は通常の借地契約より安く設定されるので、借地人にとっては期間が限られるが安い地代で土地を調達できるというメリットがあります。

メリット

〇期間満了後に必ず更地になって返ってくる
〇長期間安定した地代収入が得られる
〇相続税や固定資産税などの税金対策に向いている

デメリット

×長期での契約のため、期間中の転用ができない
×更地になって返ってくるため、資産価値は低い
×面倒ごとが多い

一般定期借地権とは50年以上の借地権存続期間を設定して、期間が満了した時には借地人が土地を更地にして速やかに返還することや、建物の買い取り請求はしないことを定める借地権です。

契約は書面で行わなければなりません。

通常は公正証書を利用し、使用目的が居住用か事業用かの制限はありません。

メリット

〇賃貸の契約期間の長さを10年以上から設定できる
〇事業用は住宅用よりも高い地代を設定できる

デメリット

×事業用に限られるため、利用者も限られてしまう
×借地人の権利を大幅に制限することもある

事業用定期借地権とは、事業のための使用に限られた借地権です。

ただし建物の賃貸は事業として認められません。

借地権の存続期間は10年以上50年未満で、設定が可能になっています。

この借地権の契約は公正証書によって行わなければならず、事業用定期借地権は契約期間が30年以上かどうかで内容が異なってくるのが特徴です。

事業用定期借地権は建物買い取り請求権がないなど、借地人の権利を大幅に制限することもあります。

そこで慎重に契約が行われるようにするため、事業用定期借地権の契約は公正証書によって行わなければならないとされていて、公正証書を利用せずに事業用定期借地権設定契約を締結したとしても、その契約は無効になるのです。

メリット

〇30年間の安定した地代収入や保証金が見込める
〇期間満了後に建物を買い取れるので、そこからは家賃収入を得られる
〇資産価値の高い不動産が手に入る

デメリット

×地主が建物を買い取らなければ借地権を消滅させることができない
×建物を買い取る際に多額の費用が必要になる

建物譲渡特約付き借地権というのは、期間満了時に借地にある建物を地主が買い取るという特約の付いた借地権です。

存続期間は30年以上で設定します。

業者が土地を借りビルやマンションを建てて、一定期間賃料収入を得た後は地主に売却するというビジネスモデルでは、建物譲渡特約付き借地契約が利用されるのです。

契約については書面でなければならないとは定められていませんので口頭でも契約は成立しますが、公正証書で契約を結ぶのが一般的になっています。

居住用、事業用の制限はありません。

借地権があると無いとでは何が違うの?

_SMILEの画像

不動産のチラシや広告を見ていると、相場より安く出ている物件の多くに借地権つきという記述があるのに気づきます。

借地権は期間を区切ってその土地を自由に使える権利ですから、買った土地に建てるよりかなり割安で作れるという大きな特徴があるのです。

これを最大限に活かせるのが土地代の高い都市部ですが、それ以外にもいろいろな性質を持っているため所有権マンションとの違いに気を付けながら見ていきましょう。

マンションに借地権がついているということは、正確には建物部分の区分所有+マンション敷地の自分の持ち分相当の土地の借地権を所有しているということになります。

あくまで土地部分は借りているだけですので、所有していないということが税金や資産の状況に影響していきます。

ほとんどのマンションでは定期借地権が適用されており、50年間が区切りとなっているのです。

戸建てや農地などに多い普通借地権ですが、こちらは借りる期間もまちまちであり(10年~20年が多いようですが)、契約期間が終わっても建物を建てたまま、また更新することが可能です

一方で定期借地権は50年という長い間借りられますが、その代わり更新はできずいったん建物を取り壊す義務があります。

鉄筋マンションの寿命が50年と言われますから、これと期間を合わせて作られた、比較的に新しい制度です(平成4年制定)。

借地権付きの場合、所有権よりも安く買えるために気軽に手を出しがちですが当然それに代わるデメリットも持っています。

土地を所有していないため固定資産税など土地に関する税金を払わなくて良いのですが、地代は支払うことになりますし建物が古くなれば資産価値はゼロです。

どんなに建物が老朽化しても土地の持ち分だけは残る所有権と比べたとき、このあたりのポイントをどうとるかで評価が変わってくるでしょう。

特段に借地権付きなどの記述がない場合、分譲マンションはこの「所有権付き」だと解釈されます。

所有権付きは、建築物の区分所有分(自分の部屋)に加えて敷地の一部分を持っているため、固定資産税などを支払うことになるでしょう。

ただ通常、土地の面積はかなり小さくなるためさほど高額にはなりません。

保険の適用外の災害などがあって建物がなくなったとしても、土地だけは必ず残るという強みを持っています。

やはり土地の持ち分がある、というのがメリットの最たるものでしょう。

建物は劣化していきますし、どうしても資産価値は減じてしまいますが土地は面積も減らず、場合によっては地価の上昇があれば価格が上がる可能性まで秘めています。

借地権に比べて土地が担保になる分住宅ローンの審査も通りやすいという点も優れていると言えるでしょう。

売却に際しても有利であるというのが不動産業界では通説となっています。

借地権のものと比べ、土地の代金が入っているため購入時の価格がどうしても高くなりがちです。

また、土地は所有していても建物はいつか建て替えなければならないため、修繕積立金が高額になります。

さらに建て替え時には住民の大半の賛成を得なければいけないなど、手続きの煩雑さもデメリットです。

土地を所有しているため税金も固定資産税などで持っていかれるので、トータルで見れば出費が多いと言えます。

残るとはいえ土地の価格が下がる可能性もあり、売却はタイミング次第でとても困難なものになってしまうおそれもあるのです。

相続などを見据えて、また資産形成の一環として手元に持っておくなら所有権付きマンションのほうが有利なのは確かです。

とくに、土地の値段が値上がることが見込める場合は非常に有望な投資先ともなります。

単なる住居としてではなく、資産価値という観点で見れば借地権付きよりずっと高いポテンシャルを持っているのです。

とくに資金に余裕のあるオーナーにとっては複数所持していて、高くなったら売ることも出来るし賃貸にも回せるという使い勝手が魅力になっています。

定期借地権付きの不動産は、土地の持ち分がない代わりに相場の2割~3割安く入手しやすいという特徴があります。

確かに土地の所有はありませんが、建物の寿命までは住めるとすれば初期コストが安いぶんお得だとも考えられるのです。

所有権付きマンションでいくら土地を持っていても、建て替えの費用で消えてしまうことを踏まえれば住むためには悪くない選択肢と言えるでしょう。

定期借地権があっても売却も貸し出すことも可能ですので、資産運用にも使えます。

購入時に安く買える点、また固定資産税を支払う必要がない点はメリットと言えるものです。

借地と言っても借り入れ期間は長いですし、ほぼ自分のものとして使うことができるのもうれしい点でしょう。

借地の期間が終わったら建物を取り壊すのが義務ですので、そのための費用は積み立てておく必要があります。

とはいえ建て替えより解体のほうが安いですから、所有権付きマンションよりリーズナブルに住むことが可能です。

定期借地権つきマンションは、50年の期間が終わると建物を壊し、土地も持ち主に返還されますから資産価値はゼロとなってしまいます。

そのうえ地代を支払う必要があり、この地代は時代に即して徐々に値段を上げてきているのです。

売却の際にも、飼い主が「定期借地権」の文字に二の足を踏んでしまいなかなか売りにくい物件でもあります。

さらに、土地所有がない分担保能力が低く、住宅ローンの審査が厳しくなる可能性まであるのです。

必要な経費を慎重に計算してみて、借地権付きを選ぶべきかどうか考えてみましょう。

不動産経営は個人事業主として自分で行うものですから、資金や目標利回り、立地や環境などは自分でしっかりと分析しなければなりません。

そのうえで借地権付きマンションにするか、あるいは所有権付きマンションのほうで長いスパンの投資をするか決めておきましょう。

「絶対にこちらのほうが良い」という結論は出しにくいため、オーナーの事情に合わせて利用するのが賢いやり方です。

不動産投資会社に相談すれば、的確なアドバイスがもらえるでしょう。

どちらを買うにせよ、安心できて相談しやすい投資会社を見つけておけばスムーズに経営が進みます。

借地権付きマンションを購入するときの注意点

_SMILEの画像

普通のマンションでは底地の敷地券は所有権の形態で購入するのが一般的です。

敷地権の持分に応じて自由に土地利用を行うことができるからです。

それでは定期借地権付きマンションを購入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

この権利の性質などを踏まえつつ検討して参りましょう。

そもそも定期借地権付きマンションはどれほど不動産流通市場に出ているのか。

やや古いデータですが国土交通省が平成21年に調査した供給実態調査によると、平成5年から平成21年までの定期借地権付きマンションの累積販売実数は21000件弱、平成21年に限ってみると620件、ピークの平成13年の2281件をピークに減少傾向が継続しています。

ただ地域的偏在現象が見られ最も流通量が多いのは東京都になっています。

これは後述すうように好条件の立地の割には割安で購入できるので、都市生活を堪能したいような層には一定の需要があることを示唆していると言えそうです。

定期借地権付きマンションを購入することのメリットは、所有権敷地権付きマンションに比較すると割安な価格で購入できる点にあります

その理由は簡単で底地の共有持分を所有権として購入していないからです。

あくまでも50年間は利用する権利を設定するだけの権利であって、土地の代金は含まれていません。

そこに安さの秘密があるのです。

所有権付きマンションに較べれば2-3割程度は安い値段になるとされています。

従って所有権物件では高価すぎる東京都心などでも、比較的割安に購入するチャンスがあると言うわけです。

定期借地権はあくまで建物所有目的で利用権の設定を受けるに過ぎません。

そのため所有者として敷地権を取得していないので、毎年の固定資産税や都市計画税など負担する必要はありません。

Sッ有権を取得しないので購入時に不動産取得税の負担もないわけです。

毎年の税負担に関しては定期借地権付きマンションにはメリットがあると言えるでしょう。

確かに市場よりも安い価格で購入できるにもかかわらず、流通量は必ずしも多くないのが現状です。

このように需要があまり伸びないのは、長期的スパンでみると色々なコストの負担や定期借地権の権利に伴う制約があることが影響しています。

具体的にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

確かに固定資産税などを支払う必要がないのはメリットですが、地主からは借地権の設定を受けるので地主への時代が毎月必要になります。

土地の価格にもよりますが、定期借地権付きマンションでは月当たり5000円から1万円ほどが多いようです。

もちろん周辺の住宅の供給関係によっては将来値上がりする可能性があります。

また50年の借地期間満了後にはマンションを取り壊して更地状態で地主に返還する必要があるので、建物解体費用も月々積み立てることになるのです。

この積立金も毎月5000円から1万円前後が多いようです。

定期借地権付き物件を購入するときには、各種の一時金の支払いが必要になります。

民法上の「敷金」にあたるものでは明渡し時に賃料滞納などが無い限り原則として返還されることになります。

しかし土地利用の対価として支払う「権利金」については支払ったままで帰ってこない金銭です。

定期敷地権付きマンションの購入にはこれらの一時金も含めて価格の適正さを判断するべきです。

定期借地権付きマンションを購入するにあたっての最大のネックは住宅ローンを組むのが難しい点が、良く指摘されます。

物件を購入しても底地の土地の所有権を取得するわけではありません。

資産価値はあくまで居住部分と共用部分の利用権と借地権だけになります。

マンションも含めて年々原価償却されていくので、さほど担保価値は高く評価されない傾向があります。

もちろん住宅ローンを組むことは理論的には不可能ではありません。

しかしそのためには地主の承諾を得る必要があるだけでなく、定期借地権付き物件に対応した住宅ローンを取扱っている必要があります。

このようにいくつかのハードルがあるので現実的に住宅ローンを組むのは難しい異常があるわKです。

これは住宅ローンを組むことに通低する部分ですが、定期借地権付きマンションは購入後、第三者に売却するのが難しいと言う点もデメリットです。

その理由にはそもそも販売時点で資産価値が落ちていることが多いというのもありますが、売却などの処分にあたっては地主の承諾を得る必要ある点が重要です。

地主があくまで所有権を持っているので、借地人と雖も好き勝手に土地を利用できるわけではなく、重大な取引行為などを行うにあたっては、地主の承諾を得ることが民法で規定されているからです。

地主の承諾がないと売買自体が事実上不可能になってしまうので、第三者への処分を念頭に定期借地権付きマンションを購入するのは、あまりお勧めできません。

あらゆる不動産に共通する問題ですが、将来的に相続が発生した場合の処理をどのようにするのか、も問題になります。

例えば借地権者の父親が死亡し、子供がマンションを相続した場合を想定してみましょう。

地主との関係では従来の父親の地位を包括的に承継しているので、特に問題にはなりません。

問題は第三者が登場した場合です。

例えば地主が第三者に底地を売買した事例です。

この場合、父親のマンションを相続した子供は飼い主との関係では、底地の利用をめぐって利害対立関係に立ちます。

相続登記を済ませておけば問題ありません。

しかしそれを怠っていて、買主が所有権移転登記を先に行った場合、地主からの立ち退き要求に法的に権利を主張するのは著しく困難になります。

追い出すまでにならなくても、底地の持分を高額で買取るように要求される可能性があるのです。