不動産投資は今やサラリーマンの副業としても選択肢のひとつとなってきました。
書籍やネットでも「不動産投資で不労所得を得よう」といったキャッチコピーを見かけます。
果たして不動産投資は本当に不労所得を得られるような簡単な投資なのでしょうか。
そこにはどんなメリット・デメリットがあるでしょうか。
不動産投資は多額の資金が必要な投資です。
不動産投資のメリット・デメリットをよく理解して不動産投資を行いましょう。
■まとめ
不動産投資は自分で働かなくても収入を得られることがメリットのひとつです。
サラリーマンの場合、月々の給料が収入となります。
自営業であっても、簡単に言えば売り上げからコストを引いた部分が収入です。
サラリーマンであれ自営業であれ、自分で労働して得られた対価で暮らしています。
不動産投資はこれらの労働とは異なる収入の獲得方法なのです。
上手に運用すれば不労所得に近い状態にもできます。
実際に不動産投資だけで暮らしている人、年金と不動産投資で老後の生活をしている人もいるくらいです。
労働とは一線を画した収入の獲得方法であることをしっかり理解しましょう。
不動産投資の場合、運用が軌道に乗れば毎日物件の面倒を見る必要はありません。
賃借人からの賃料が毎月支払われるので収入も計算できます。
まさに「物件が働いてくれる」状態です。
このような状態になれば、寝ていても収入が入ってきます。
アルバイトやパートだと時給換算なので働いた分だけの収入です。
サラリーマンや自営業でも自分が働かないと収入を得ることができません。
ここが給料と不動産投資の大きな違いで不動産投資のメリットなのです。
資産家や富裕層と呼ばれる人たちは多くの場合不動産を資産に組み入れています。
その理由のひとつは投資によって収入を得られるからです。
古くからの大地主は山や田畑といった資産も持っている場合があります。
ただこうした投資に向かない不動産はお金を生み出しません。
山や田畑といった不動産は最近では敬遠される傾向にあります。
資産家や富裕層が欲しがるのは不動産投資に向いた収益用不動産なのです。
一般に不動産投資は預貯金や株式投資に比べて配当利回りの高い投資です。
国内株式で配当利回りが5%を超える投資先は限られています。
株式は配当狙いのスタンスよりもキャピタルゲインを目指すことが多いため、配当が低くてもあまり問題になりません。
不動産投資は株式のように頻繁に売買することは不可能です。
不動産の転売益狙いの取引もないわけではありませんが、短期譲渡所得には多額の所得税がかかるなど税制的に難しくなっています。
一方でインカムゲインとして考えると不動産投資は優良な投資先です。
都心部でも4%前後の利回りの物件があります。
地方へ行けば10%を超える物件も珍しくありません。
これは後述するような不動産のリスクを織り込んでいるため利回りが高めになるのです。
長期間保有して安定した収入を目的とするならば不動産投資は優秀といえます。
老後は貯蓄や年金だけでは生活費が足らないのではないか。
こうした不安を持つ現役世代は多いものです。
定年延長などでしばらくは働けたとしても、いずれは貯蓄と年金でやりくりしなければならない時がやってきます。
ここで不動産投資をしてその収入を年金の足しにするのです。
たとえ所有者が働けなくなっても物件が賃料を稼いでくれます。
物件の規模によっては年金を当てにしなくてもよいくらいの収入を稼ぐことも可能です。
もし相続をする子どもがいれば収入を稼いでくれる遺産にもなります。
年金や遺産の代わりになるのも不動産投資のメリットのひとつです。
サラリーマンの場合、所得税は源泉徴収され会社が本人に代わって納付してくれます。
このため、所得税を安くしようとしてもできるものではありません。
ですが、不動産投資の場合は、減価償却費や管理費などの不動産の運用にかかる費用は経費として控除することが可能です。
例えば、給料での年収500万円と不動産投資の売上高500万円では、給料は500万円に対して所得税がかかります。
不動産投資の場合は売上高500万円から経費を引き去ることができます。
仮に200万円が経費とすると、500万円マイナス200万円で300万円が所得になり、300万円に対して税金が掛けられます。
経費を計上することによって所得税を節税することができるのです。
相続税の計算をする場合、現金資産はその金額全額が相続財産として計算されます。
ところが不動産はその価値の一定割合しか相続財産に含まれません。
土地の場合は市場価格の約8割、建物は6割から7割が相場です。
不動産投資に向いている賃貸用不動産の建物はそこからさらに30%の減額が可能です。
ここまで不動産が優遇されていると、現金ではなく資産は不動産で持つという流れになります。
相続対策には不動産を活用することが有利なので不動産投資にはメリットがあるのです。
✔︎不動産投資は収益獲得手段のひとつで不動産が収益を稼いでくれる
✔︎不動産投資は預貯金や株式投資よりも高い配当利回りが期待できる
✔︎節税対策や資産運用としても人気が高く副業としても根強い人気
「不動産投資は不労所得」といった宣伝文句を投資サイトに掲げられていることがあります。
これはすべてがうまく運用されている状態ならば当てはまる表現です。
不動産投資は不労所得ではありません。
賃借人の募集、物件の維持管理、退去立ち会い等不動産の面倒を見なければなりません。
多くの場合、これらの業務は不動産業者や管理業者に一任しています。
ほとんどの業務を管理会社が肩代わりしてくれるので「不動産投資は不労所得」という認識が生まれるのです。
管理会社や不動産業者はただでは動いてくれません。
賃借人の募集に成功したら賃料の1か月分、維持管理には賃料の3%から5%程度の手数料が必要です。
不動産投資は不労所得とは言えません。
不動産投資には最初に多くのお金がかかります。
物件を一棟購入しようとすると、数千万円から億単位の資金が必要です。
一棟では値段が張るのでワンルームマンションを1室ごとに区分けしたマンション投資も行われています。
ワンルームマンション投資でも数百万円の初期投資が必要です。
資金に余裕があって多くの選択肢の中から不動産投資を選択するならばよいでしょう。
しかし、なけなしの資金で物件を購入するには勇気のいることです。
多くの人にとって不動産投資を始めるためには資産の多くを不動産に投資しなければ始めることができません。
株式投資のように数万円から始められるものでもないのです。
不動産投資には多くのリスク、危険性が伴います。
基本的にこれらのリスクは所有者が負わなければなりません。
管理会社や不動産業者はサポートやアドバイスはしてくれます。
ただ、リスクは肩代わりしてくれません。
例えば、サブリース契約ではない場合、賃借人の退去による賃料収入の減少について管理会社は責任を負ってくれません。
空室が埋まるように賃料を下げたほうがよい、といったアドバイスはしてくれますし、不動産業者は賃借人を探してくれます。
ですが、賃借人が見つからなくても彼らの責任を追及することはできないのです。
不動産投資のリスクは自分で背負わなくてはならないのです。
賃借人が退去すると賃料収入はその分減ってしまいます。
人気物件であればすぐに次の借り手を見つけられるでしょう。
なかなか新たな賃借人が見つからなかったり、長期間にわたって空室が続いたりすると恒常的に収入が減ってしまいます。
サブリース契約を活用するとこのリスクは回避できますが、後述するようにサブリース契約は慎重にすべきです。
さらに物件が古くなってくると新築時よりも賃料を安くせざるを得ない場合もあります。
こうした賃料下落リスクが不動産投資にはついて回ります。
サブリース契約で退去リスクを担保するか、購入の段階で空室などの賃料下落リスクを織り込んで価格を決めましょう。
土地価格は都市部では上昇傾向です。
地方では下落から横ばい傾向になりつつあります。
土地価格は今後どうなるかはわかりません。
建物については新築時が一番高く、築年数が経過するとだんだん安くなっていきます。
このほかにも適切に管理をしていかないと物件価格の下落に拍車がかかるのです。
さらに突発的な事故や室内で自殺などが起きてしまうと物件の価値は大きく下落してしまいます。
購入した時の価格から減価償却費相当額を控除した価格程度で売却できればよいのですが、資産価値が下落してしまうリスクは常にあるのです。
物件の管理を十分に行なっていても物件の価格が下落してしまうリスクもあります。
それは周辺環境の変化です。
例えば、近くにあった工場や大学が移転してしまうと従業員や学生が減ってしまい、借り手がいなくなってしまいます。
商業テナントの場合、バイパスや新しい店舗ができると人の流れが変わってしまい、これまでの収入が見込めなくなることも。
このような周辺環境の変化による物件価格の下落は誰も責任をとってくれません。
土地勘のある場所であればある程度の都市計画や開発動向の情報が入手できます。
土地勘のない場所で不動産投資を行う場合には注意が必要です。
自分の物件をしっかり管理していても、経済情勢の変化に逆らうことはできません。
リーマンショックやバブル崩壊のような事象が発生すると経済が冷え込み、資産価値が下落してしまいます。
賃借人も募集しづらくなったり、売却も買い手がつかなくなったりと手におえない事態となるのです。
不動産投資をするとこのような経済事象にも自分で立ち向かう必要があります。
会社員のように給料が保障されているわけではないのです。
✔︎不動産投資は決して不労所得ではなく自分で判断して行う投資である
✔︎賃料下落リスクや資産価値の下落リスクはすべて自分が負うことになる
✔︎経済情勢の変化や周辺環境の変化などコントロールできないリスクもある
不動産投資にリスクはつきものです。
経済情勢の変化などは日本全体、世界全体の話になるので避けることは困難なものもあります。
投資物件を購入する段階であらゆる可能性を考慮してリスクを回避したり、想定外の事象でも対応できるようしたりすべきです。
企業が投資物件を購入する場合、建物は専門家に調査させ、賃料相場や今後の情勢もレポートを作成させます。
考えられるリスクはすべてリストアップし、そのリスクに備えておきます。
そして調査の結果、投資に見合わないようなリスクが発生しそうならば、その物件の購入は見送るのです。
その様はまさに石橋をたたいて渡っています。
投資にはスピードが必要ですが、不動産投資において拙速は禁物です。
賃借人が退去するリスクに対してサブリース契約を締結することがあります。
サブリース契約とは、物件を一括して不動産会社などに貸します。
不動産会社は所有者に毎月一定額の賃料を支払います。
所有者は入居者の退去や入居に関わらず一定額の賃料を手に入れることが可能です。
退去リスクは一括して借りた不動産会社が負ってくれるので所有者はリスクを免れることができます。
一見すると所有者にとってとても有利な契約です。
ですが、サブリース契約は大きく2点の注意点があります。
ひとつめは月々の賃料は安めになります。
中間に不動産会社が入るため、たとえ満室であっても一定額しかもらえません。
満室がつづくような優良物件であればサブリース契約は慎重にすべきです。
ふたつめは不動産会社から支払われる賃料は一定期間後に見直しが行われ、多くの場合減額されてしまうことがあります。
契約書をよく読むとこの見直し条項を確認することが可能です。
サブリースを行う会社の宣伝文句には「30年間一括借り上げ保証」となっていますが、減額しないとは書いてありません。
サブリースには安易に飛びつかず、きちんと検討してから契約するようにしましょう。
物件を購入する際やサブリースを契約する際には、不動産会社選びが重要になってきます。
多くの人にとって、不動産投資は資産の何割かを使って行う一大事業です。
簡単に決めてしまえるものではありません。
物件の良否も大事ですが、どの不動産業者に依頼するかはその後の物件の運用を左右することもあります。
物件を購入した場合であってもいずれは売却するかもしれません。
サブリース契約であれば今後何年間も付き合うことになります。
信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産投資は長期間にわたって行われる事業です。
賃借人の募集、建物の維持管理、クレーム処理等やることは多岐にわたります。
信頼できる管理会社に任せることも一案です。
所有者が音頭を取ってそれぞれの業務を専門の業者に依頼することもできます。
強い野球チームにはエースがいて四番バッターがいてというように頼れるメンバーがいるものです。
この業務ならこの会社に頼めば安心、という自分のチームを作りましょう。
頼れるメンバーがいると不動産の運用がとても楽になります。
不動産投資をしていると様々な人から意見をもらうことがあります。
「賃料を下げたほうがいい」、「外壁を直したほうがいい」といったものです。
これらはよりよい不動産投資のための意見なので尊重すべきでしょう。
ですが、助言は尊重しても決断は必ず自分でするようにしましょう。
他人の意見に流されてばかりだと安定した運用は難しくなります。
助言をくれる人も自分の利益のために言っていることもあるからです。
賃料を下げればその分賃借人を集めやすくなります。
その一方で収入は下がります。
外壁も直せばきれいになりますが、その分コストがかかります。
あの人に言われたから、ではなく最終決断は自身でする習慣をつけましょう。
✔︎リスクを常に想定し突発的なリスクにも対応できるようにしておこう
✔︎信頼できる不動産会社が重要で自分にとってよいチームを組もう
✔︎助言を受けて参考にすべきだが最後の決断は自分ですること
不動産投資は物件が収入を稼いでくれるので軌道に乗っていれば労力は少なくて済みます。
管理も管理会社に委託していればなおさらです。
自分が実際に働かなくても収入が入ってくるのですから理想的な収入獲得方法になります。
これが不動産投資のメリットのひとつです。
ですが、想定通りにいかなくなると、リスクは自分で背負わなくてはいけません。
リスクには自分でコントロールできるものとできないものがあります。
建物の修繕や賃料水準の調整などは自分でできたとしても経済情勢の変化や法令の改正などはどうすることもできません。
こうしたことは不動産投資のデメリットです。
不動産投資にはメリットとデメリットが混在しています。
これらのメリット・デメリットをよく理解したうえで不動産投資に臨みましょう。
不動産投資は今やサラリーマンの副業としても選択肢のひとつとなってきました。
書籍やネットでも「不動産投資で不労所得を得よう」といったキャッチコピーを見かけます。
果たして不動産投資は本当に不労所得を得られるような簡単な投資なのでしょうか。
そこにはどんなメリット・デメリットがあるでしょうか。
不動産投資は多額の資金が必要な投資です。
不動産投資のメリット・デメリットをよく理解して不動産投資を行いましょう。
■まとめ
不動産投資は自分で働かなくても収入を得られることがメリットのひとつです。
サラリーマンの場合、月々の給料が収入となります。
自営業であっても、簡単に言えば売り上げからコストを引いた部分が収入です。
サラリーマンであれ自営業であれ、自分で労働して得られた対価で暮らしています。
不動産投資はこれらの労働とは異なる収入の獲得方法なのです。
上手に運用すれば不労所得に近い状態にもできます。
実際に不動産投資だけで暮らしている人、年金と不動産投資で老後の生活をしている人もいるくらいです。
労働とは一線を画した収入の獲得方法であることをしっかり理解しましょう。
不動産投資の場合、運用が軌道に乗れば毎日物件の面倒を見る必要はありません。
賃借人からの賃料が毎月支払われるので収入も計算できます。
まさに「物件が働いてくれる」状態です。
このような状態になれば、寝ていても収入が入ってきます。
アルバイトやパートだと時給換算なので働いた分だけの収入です。
サラリーマンや自営業でも自分が働かないと収入を得ることができません。
ここが給料と不動産投資の大きな違いで不動産投資のメリットなのです。
資産家や富裕層と呼ばれる人たちは多くの場合不動産を資産に組み入れています。
その理由のひとつは投資によって収入を得られるからです。
古くからの大地主は山や田畑といった資産も持っている場合があります。
ただこうした投資に向かない不動産はお金を生み出しません。
山や田畑といった不動産は最近では敬遠される傾向にあります。
資産家や富裕層が欲しがるのは不動産投資に向いた収益用不動産なのです。
一般に不動産投資は預貯金や株式投資に比べて配当利回りの高い投資です。
国内株式で配当利回りが5%を超える投資先は限られています。
株式は配当狙いのスタンスよりもキャピタルゲインを目指すことが多いため、配当が低くてもあまり問題になりません。
不動産投資は株式のように頻繁に売買することは不可能です。
不動産の転売益狙いの取引もないわけではありませんが、短期譲渡所得には多額の所得税がかかるなど税制的に難しくなっています。
一方でインカムゲインとして考えると不動産投資は優良な投資先です。
都心部でも4%前後の利回りの物件があります。
地方へ行けば10%を超える物件も珍しくありません。
これは後述するような不動産のリスクを織り込んでいるため利回りが高めになるのです。
長期間保有して安定した収入を目的とするならば不動産投資は優秀といえます。
老後は貯蓄や年金だけでは生活費が足らないのではないか。
こうした不安を持つ現役世代は多いものです。
定年延長などでしばらくは働けたとしても、いずれは貯蓄と年金でやりくりしなければならない時がやってきます。
ここで不動産投資をしてその収入を年金の足しにするのです。
たとえ所有者が働けなくなっても物件が賃料を稼いでくれます。
物件の規模によっては年金を当てにしなくてもよいくらいの収入を稼ぐことも可能です。
もし相続をする子どもがいれば収入を稼いでくれる遺産にもなります。
年金や遺産の代わりになるのも不動産投資のメリットのひとつです。
サラリーマンの場合、所得税は源泉徴収され会社が本人に代わって納付してくれます。
このため、所得税を安くしようとしてもできるものではありません。
ですが、不動産投資の場合は、減価償却費や管理費などの不動産の運用にかかる費用は経費として控除することが可能です。
例えば、給料での年収500万円と不動産投資の売上高500万円では、給料は500万円に対して所得税がかかります。
不動産投資の場合は売上高500万円から経費を引き去ることができます。
仮に200万円が経費とすると、500万円マイナス200万円で300万円が所得になり、300万円に対して税金が掛けられます。
経費を計上することによって所得税を節税することができるのです。
相続税の計算をする場合、現金資産はその金額全額が相続財産として計算されます。
ところが不動産はその価値の一定割合しか相続財産に含まれません。
土地の場合は市場価格の約8割、建物は6割から7割が相場です。
不動産投資に向いている賃貸用不動産の建物はそこからさらに30%の減額が可能です。
ここまで不動産が優遇されていると、現金ではなく資産は不動産で持つという流れになります。
相続対策には不動産を活用することが有利なので不動産投資にはメリットがあるのです。
✔︎不動産投資は収益獲得手段のひとつで不動産が収益を稼いでくれる
✔︎不動産投資は預貯金や株式投資よりも高い配当利回りが期待できる
✔︎節税対策や資産運用としても人気が高く副業としても根強い人気
「不動産投資は不労所得」といった宣伝文句を投資サイトに掲げられていることがあります。
これはすべてがうまく運用されている状態ならば当てはまる表現です。
不動産投資は不労所得ではありません。
賃借人の募集、物件の維持管理、退去立ち会い等不動産の面倒を見なければなりません。
多くの場合、これらの業務は不動産業者や管理業者に一任しています。
ほとんどの業務を管理会社が肩代わりしてくれるので「不動産投資は不労所得」という認識が生まれるのです。
管理会社や不動産業者はただでは動いてくれません。
賃借人の募集に成功したら賃料の1か月分、維持管理には賃料の3%から5%程度の手数料が必要です。
不動産投資は不労所得とは言えません。
不動産投資には最初に多くのお金がかかります。
物件を一棟購入しようとすると、数千万円から億単位の資金が必要です。
一棟では値段が張るのでワンルームマンションを1室ごとに区分けしたマンション投資も行われています。
ワンルームマンション投資でも数百万円の初期投資が必要です。
資金に余裕があって多くの選択肢の中から不動産投資を選択するならばよいでしょう。
しかし、なけなしの資金で物件を購入するには勇気のいることです。
多くの人にとって不動産投資を始めるためには資産の多くを不動産に投資しなければ始めることができません。
株式投資のように数万円から始められるものでもないのです。
不動産投資には多くのリスク、危険性が伴います。
基本的にこれらのリスクは所有者が負わなければなりません。
管理会社や不動産業者はサポートやアドバイスはしてくれます。
ただ、リスクは肩代わりしてくれません。
例えば、サブリース契約ではない場合、賃借人の退去による賃料収入の減少について管理会社は責任を負ってくれません。
空室が埋まるように賃料を下げたほうがよい、といったアドバイスはしてくれますし、不動産業者は賃借人を探してくれます。
ですが、賃借人が見つからなくても彼らの責任を追及することはできないのです。
不動産投資のリスクは自分で背負わなくてはならないのです。
賃借人が退去すると賃料収入はその分減ってしまいます。
人気物件であればすぐに次の借り手を見つけられるでしょう。
なかなか新たな賃借人が見つからなかったり、長期間にわたって空室が続いたりすると恒常的に収入が減ってしまいます。
サブリース契約を活用するとこのリスクは回避できますが、後述するようにサブリース契約は慎重にすべきです。
さらに物件が古くなってくると新築時よりも賃料を安くせざるを得ない場合もあります。
こうした賃料下落リスクが不動産投資にはついて回ります。
サブリース契約で退去リスクを担保するか、購入の段階で空室などの賃料下落リスクを織り込んで価格を決めましょう。
土地価格は都市部では上昇傾向です。
地方では下落から横ばい傾向になりつつあります。
土地価格は今後どうなるかはわかりません。
建物については新築時が一番高く、築年数が経過するとだんだん安くなっていきます。
このほかにも適切に管理をしていかないと物件価格の下落に拍車がかかるのです。
さらに突発的な事故や室内で自殺などが起きてしまうと物件の価値は大きく下落してしまいます。
購入した時の価格から減価償却費相当額を控除した価格程度で売却できればよいのですが、資産価値が下落してしまうリスクは常にあるのです。
物件の管理を十分に行なっていても物件の価格が下落してしまうリスクもあります。
それは周辺環境の変化です。
例えば、近くにあった工場や大学が移転してしまうと従業員や学生が減ってしまい、借り手がいなくなってしまいます。
商業テナントの場合、バイパスや新しい店舗ができると人の流れが変わってしまい、これまでの収入が見込めなくなることも。
このような周辺環境の変化による物件価格の下落は誰も責任をとってくれません。
土地勘のある場所であればある程度の都市計画や開発動向の情報が入手できます。
土地勘のない場所で不動産投資を行う場合には注意が必要です。
自分の物件をしっかり管理していても、経済情勢の変化に逆らうことはできません。
リーマンショックやバブル崩壊のような事象が発生すると経済が冷え込み、資産価値が下落してしまいます。
賃借人も募集しづらくなったり、売却も買い手がつかなくなったりと手におえない事態となるのです。
不動産投資をするとこのような経済事象にも自分で立ち向かう必要があります。
会社員のように給料が保障されているわけではないのです。
✔︎不動産投資は決して不労所得ではなく自分で判断して行う投資である
✔︎賃料下落リスクや資産価値の下落リスクはすべて自分が負うことになる
✔︎経済情勢の変化や周辺環境の変化などコントロールできないリスクもある
不動産投資にリスクはつきものです。
経済情勢の変化などは日本全体、世界全体の話になるので避けることは困難なものもあります。
投資物件を購入する段階であらゆる可能性を考慮してリスクを回避したり、想定外の事象でも対応できるようしたりすべきです。
企業が投資物件を購入する場合、建物は専門家に調査させ、賃料相場や今後の情勢もレポートを作成させます。
考えられるリスクはすべてリストアップし、そのリスクに備えておきます。
そして調査の結果、投資に見合わないようなリスクが発生しそうならば、その物件の購入は見送るのです。
その様はまさに石橋をたたいて渡っています。
投資にはスピードが必要ですが、不動産投資において拙速は禁物です。
賃借人が退去するリスクに対してサブリース契約を締結することがあります。
サブリース契約とは、物件を一括して不動産会社などに貸します。
不動産会社は所有者に毎月一定額の賃料を支払います。
所有者は入居者の退去や入居に関わらず一定額の賃料を手に入れることが可能です。
退去リスクは一括して借りた不動産会社が負ってくれるので所有者はリスクを免れることができます。
一見すると所有者にとってとても有利な契約です。
ですが、サブリース契約は大きく2点の注意点があります。
ひとつめは月々の賃料は安めになります。
中間に不動産会社が入るため、たとえ満室であっても一定額しかもらえません。
満室がつづくような優良物件であればサブリース契約は慎重にすべきです。
ふたつめは不動産会社から支払われる賃料は一定期間後に見直しが行われ、多くの場合減額されてしまうことがあります。
契約書をよく読むとこの見直し条項を確認することが可能です。
サブリースを行う会社の宣伝文句には「30年間一括借り上げ保証」となっていますが、減額しないとは書いてありません。
サブリースには安易に飛びつかず、きちんと検討してから契約するようにしましょう。
物件を購入する際やサブリースを契約する際には、不動産会社選びが重要になってきます。
多くの人にとって、不動産投資は資産の何割かを使って行う一大事業です。
簡単に決めてしまえるものではありません。
物件の良否も大事ですが、どの不動産業者に依頼するかはその後の物件の運用を左右することもあります。
物件を購入した場合であってもいずれは売却するかもしれません。
サブリース契約であれば今後何年間も付き合うことになります。
信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産投資は長期間にわたって行われる事業です。
賃借人の募集、建物の維持管理、クレーム処理等やることは多岐にわたります。
信頼できる管理会社に任せることも一案です。
所有者が音頭を取ってそれぞれの業務を専門の業者に依頼することもできます。
強い野球チームにはエースがいて四番バッターがいてというように頼れるメンバーがいるものです。
この業務ならこの会社に頼めば安心、という自分のチームを作りましょう。
頼れるメンバーがいると不動産の運用がとても楽になります。
不動産投資をしていると様々な人から意見をもらうことがあります。
「賃料を下げたほうがいい」、「外壁を直したほうがいい」といったものです。
これらはよりよい不動産投資のための意見なので尊重すべきでしょう。
ですが、助言は尊重しても決断は必ず自分でするようにしましょう。
他人の意見に流されてばかりだと安定した運用は難しくなります。
助言をくれる人も自分の利益のために言っていることもあるからです。
賃料を下げればその分賃借人を集めやすくなります。
その一方で収入は下がります。
外壁も直せばきれいになりますが、その分コストがかかります。
あの人に言われたから、ではなく最終決断は自身でする習慣をつけましょう。
✔︎リスクを常に想定し突発的なリスクにも対応できるようにしておこう
✔︎信頼できる不動産会社が重要で自分にとってよいチームを組もう
✔︎助言を受けて参考にすべきだが最後の決断は自分ですること
不動産投資は物件が収入を稼いでくれるので軌道に乗っていれば労力は少なくて済みます。
管理も管理会社に委託していればなおさらです。
自分が実際に働かなくても収入が入ってくるのですから理想的な収入獲得方法になります。
これが不動産投資のメリットのひとつです。
ですが、想定通りにいかなくなると、リスクは自分で背負わなくてはいけません。
リスクには自分でコントロールできるものとできないものがあります。
建物の修繕や賃料水準の調整などは自分でできたとしても経済情勢の変化や法令の改正などはどうすることもできません。
こうしたことは不動産投資のデメリットです。
不動産投資にはメリットとデメリットが混在しています。
これらのメリット・デメリットをよく理解したうえで不動産投資に臨みましょう。